Weekly Red Journeyは、隔週発刊のトピックレターです。これまでのレッドジャーニーの発信の中から、特定のテーマに基づいてトピックを集め、紹介します。

2022年は、組織活動にアジャイルを適用していくという動きが進んだ年と言えそうです。レッドジャーニーのDX支援において、その中心にあったのは「組織アジャイル」でした。こうした動きは、まだ日本において一部と考えられますが、日経コンピュータで紹介されるなど、一歩二歩と進み始めています。

アジャイル組織変革

「組織アジャイル」にするとは?

今、日本の組織に何が起きているのでしょうか。われわれが直面しているのは、1980年代から連綿と培われてきた ”効率への最適化” 、それに基づく呪縛とも言える状況です。組織の判断や実行が効率性に偏り、その焦点から離れられなくなってしまっている。そんなデットエンドを一様に迎えてしまっているのが組織の共通課題です。

巷を賑わす「DX」とはこれまでの「効率への最適化」路線から立ち止まってみることにほかなりません。
そこで注目するべきは、What(何をやるか)以上にHow(どうやるか)。あれこれ「やること」だけを講じる前に、自分たち自身が「動ける体」をつくるということです。

「動ける」とは、その時々の状況に適した組織的な判断と実行が取れること。最適化路線に比べると常に、状況判断や実行結果からの適応が求められることから、組織のアジリティが問われることになります。

いかにして、組織のアジリティを高めていくのか。その手がかりはアジャイルという言葉を生み出したソフトウェア開発にあります。ソフトウェア開発で培ってきたアジャイルというやりようと、あり方を開発以外の業務や、組織運営に適用していく。この活動を「組織アジャイル」と呼びます。

組織を芯からアジャイルにする

平鍋健児さんとの「組織を芯からアジャイルにする」対談

「組織アジャイル」とはどのようなことなのか。ソフトウェア開発におけるアジャイルと、組織活動におけるアジャイル、これを対比してその共通性と違いを探るべく平鍋健児さんとの対談を行いました。

平鍋さんは日本のアジャイルの「始まり」にあたるような方です。ソフトウェア開発のアジャイルの歴史はすでに20年以上ありますが、平鍋さんはこの黎明期よりアジャイル(特にXP)の現場適用を推し進めてこられた方のひとりです。そうした方がアジャイルの組織適用についてどのような見解を持っているか。市谷との対談は20年のときを遡って始められました。

この対談の中にはいくつも印象的な言葉がありますが、「自分たちの問題なのか、彼らの問題なのか、という論点からどう抜けられるか」という言葉が組織アジャイルを進めていく上でも外せない問いにあたりそうです。

組織アジャイルの事例 〜日本生活協同組合連合会のDX-CO・OPプロジェクト〜

実例でも組織アジャイルをなぞることができるようになってきています。ここで紹介するのは、2020年から始まった、生協のDXを目指すDX-COOPプロジェクト。仮説検証とアジャイル開発の手法を用いて新しいサービスを生み出し、そのノウハウをより大きな事業や組織全体へと広げていこうと活動されています。

組織構造、事業構造が複雑な、伝統ある組織。そこにはいろんな立場の人たちがともに働いています。そんななかで、組織アジャイルへの取り組みを成果につなげ、広めていくために大切なこととは?小さなプロジェクトから大きな事業へ、理解者を増やし活動を広めていった足跡を辿ることができます。

バラバラになりがちな組織DX活動を成果につなげるには。組織にDXの「芯」をつくる ―Red Conference DAY2 日本生活協同組合連合会(前編) – Red Journey
小さなプロジェクトから大きな事業へ。DXの理解者を増やし、活動を広めるために大切なこと ―Red Conference DAY2 日本生活協同組合連合会(後編) – Red Journey

アジャイルから始める組織改革

組織がアジャイルを導入しようとするときに立ちはだかる3つの壁があります。それは「はじめられない」「広められない」「正解がわからない」です。いかにして、アジャイルによる組織変革を始めていくか。一筋縄ではいかない試みになります。

直面する課題は組織ごとに少しずつ異なり、その都度の適応が求められるところがあります。そうした多様な状況に対応していくためには自ずと相応の経験が問われます。ここに、組織変革の難しさがあります。誰もが変革に向けた経験をそもそも十分に持っているわけではない。むしろ、そうしたケイパビリティは常に不足しているわけです(既に十分なら変革そのものが必要ではない)。では、いかにしてこのギャップを埋めていくか。

もちろん、レッドジャーニーもどんな組織にも通用するような「正解」を持っているわけではありません。ただ、これまでの組織アジャイル、アジャイル開発の経験でもって、ともに考え、ともにつくる、そしてともに越えていくべく、伴走することはできます。アジャイルを組織の中に広げていく活動の手がかりとして「enagile(エナジャイル)」という走り方をまとめています。

レッドジャーニーへのお問い合わせ

多くの組織にとって、組織活動にアジャイルを適用していくという挑戦はまだこれからと言えます。組織アジャイル、アジャイル開発の適用や課題、お困りごとについて、お問い合わせはこちらからお寄せください。ともに考えていきましょう。

書籍「組織を芯からアジャイルにする」