2023年8月23日、ソニーグローバルソリューションズ株式会社で開催された社内勉強会にて、代表の市谷が講演させていただきました。

講演では「組織を芯からアジャイルにする」と題し、「これまで」(From)と「これから」(To)、そして「これまでからこれからへ」(From-To)という3つの切り口から、仕事の進め方や仕事に対する考え方を変革することで組織そのものを変えていく「アジャイル」のアプローチについてご紹介しました。

講演の概要

レッドジャーニーとして組織変革の前線で伴走支援を行う中で見えてきたのは、この30年~40年の日本の組織を支えてきた仕事の進め方や考え方が、組織を取り巻く環境の変化への適応を阻んでいるという事実です。
現在の組織が直面するのは、1980年代から連綿と培われてきた「最適化の呪縛」です。
度を過ぎた「最適化」は思考停止を招き、「効率への最適化」はいつしか「非効率で安定化」していきます。

講演資料より

DX=デジタル・トランスフォーメーションとは、これまでの「効率への最適化」路線から立ちどまり、外と内に向けて変革を始めることと言えます。
「効率への最適化」に捉われた組織がDXを実現するためには、「探索」と「適応」の活動と能力が必要です。

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講演資料より

つまり、DXの中核にあるのは「組織に”探索”と”適応”を宿すこと」と言えます。
状況をよく見て仮説を立て、思考や検証をしていく”探索”の活動から、得た学びを次に向けた判断と行動へ繋げていく”適応”へ。そのサイクルを反復的に繰り返すことで、外へ向けた提供価値の変革と組織内部の変革を可能にします。

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講演資料より

その手がかりとなるのが、「探索」と「適応」のサイクルを内包した「アジャイル」です。
少しずつ反復的に開発を進めることで、必要とする人(ユーザー)から必要なフィードバックを得て調整し続けられるのがアジャイルの特徴です。
アジャイルの基本は「回転」です。成果物をはやく作れることが強みと捉えられがちですが、アジャイルの「はやさ」とは開発の速さでも完成の早さでもなく「適応のはやさ」です。(少しだけ)速く、早く作れることで「何が望ましいのか」が早く分かり、次にとる判断や行動をより適切に近づけることができます。

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講演資料より

ソフトウェア開発から始まった「アジャイル」を組織に適用するためには、段階的な視点を持つことが必要です。
それを階層で表した「アジャイル・ハウス」では、最下層である基礎部分に「アジャイルマインドの理解」(「協働」のメンタリティを得る)を置いています。

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講演資料より

従来にはなかった新たな動き方だからこそ、チームや組織内の意思疎通や信頼関係が基礎となります。アジャイルとは方法であり「あり方」なのです。

組織アジャイルはスタートアップに限らず伝統的な大企業でも取り入れられており、社内コミュニティ作りや勉強会など様々な取り組みの事例が紹介されています。
正解や成功パターンがあるわけではなく、自組織の現状とビジョンに合った取り組みを、小さく始めて段階的に根気強く進めていくことが必要です。

「どこかの、誰か、から変化が始まるのではない」「変化はあなたから始まる」…組織変革に挑む皆様へメッセージを送り講演を結びました。

参加された方のご感想

参加された方のご感想を、ご了承を得た上で一部ご紹介させていただきます。

アジャイルが組織をステップアップさせる手法としても有効そうであることがわかりました。地に足ついた変革ができそうです
ただ手法の導入自体も結構ハードルが高そうなので、問題意識を強く持っている組織でないと難しいかも、と思いました。「もっと成長したいのに伸びないのはどうすればいいんだ⁈」と苦しんでいる組織なら、福音になりそうです

アジャイルは開発だけでなく、組織・仕事やその他のところにも広く適用出来る事を認識しました。
組織・仕事に出来るところから考え方を適用したいと思います

From To のFromを明確にしてどう進んでいくかを考える、というのが気づきでした。どうやったらアジャイルを浸透できるのか、だけでなく、今何にこだわりがあるのか、制度なのかマインドなのか、など、現在地を整理するところから始めてみたいと思います

開発手法で採用することは、好実績も少なくノウハウやナレッジがない中で実務で実行に移すには、まだ難しい状況ということを改めて理解した。ただ、アジャイル的な考え方で自分の取り組みや組織を見直していくことは、すぐにでも取り入れられると思った

アジャイルは開発手法と思っていたため、ビジネスそのものに利用できると知り、本日の講演は目からうろこでした。アメリカと日本の、評価や見直しの頻度差は衝撃的でした。

既にアジャイル開発PJに参画しているのですが、体感している内容が整理・言語化されて納得する点が多かったです

関連情報のご案内

レッドジャーニーでは、業界や組織の規模を問わず多様な組織でDX支援、アジャイル支援を行っています。
これまでの支援事例をご紹介していますので、実践の参考にぜひご覧ください。

関連書籍のご案内

市谷聡啓 著 『これまでの仕事 これからの仕事』
~たった1人から現実を変えていくアジャイルという方法~

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「現状」への違和感を言語化し、一歩踏み出す原動力へ

20年以上にわたるアジャイルの実践と試行錯誤の末辿りついた仕事論の集大成。
「今のままではいけない」「なんとかしなくては」と、現状に違和感を感じている方、
非効率な仕事の仕方や組織を変えていきたい方へ、
あなたの周りから、仕事の現場をより良く変えていくためにご活用ください。

目次

はじめにだれかが変えるのをただ待ち続けるほど,人生は長くない
第1章「数字だけ」から,「こうありたい」へ
第2章目先の効率から,本質的な問いへ
第3章想定どおりから,未知の可能性へ
第4章アウトプットから,アウトカムへ
第5章マイクロマネジメントから,自律へ
第6章1人の知識から,みんなの知識へ
第7章縄張りから,越境へ
終章思考停止から,行動へ

詳細はこちらの特設サイトをご覧ください。

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