仮説キャンバスがもたらした変化。

実際に研修に取り組んでみて印象に残っていることや変化したことはありますか。

大滝さん:一番変わったのは、仮説キャンバスを使うようになったことです。
仮説キャンバスの存在は書籍「正しいものを正しくつくる」を読んで知っていましたが、今回の研修をきっかけにWebでも使えることを知りました。それ以来、いろんな案件で使っています。

一人で作って整理したり、チームのメンバーで一緒に作ってみたり。それが一番大きな変化です。

仮説キャンバス

仮説を整理する上で、さまざまなまとめ方がある中で、仮説キャンバスにはどのような利点があると思われますか。

大滝さん:全体感を把握しやすいと感じています。
例えば、企画チームからPoCのためのプロトタイプ作成を依頼されたとき、「本当にこのまま進めていいのか?」という疑問が生じたら、仮説キャンバスに落とし込んでいくと繋がりの甘さや矛盾点が可視化され頭が整理されます。
一枚の紙に落とし込むことで、自分たちもよく分かるし人にも説明しやすくなりますよね。

自分たちの理解も深まるし、企画チームとの対話にも役立つということですね。
佐々木さんはいかがでしょうか。

佐々木さん:そうですね。私も、仮説キャンバスを使うようになったのが一番の変化です。
ディスカッションを重ねるうちに、どこへ向かって走っているのかが分からなくなるようなことも今までありましたので、そんな時にキャンバスを書いてみることで、仮説や考えが見える化され全員が共有できるようになりました。方向を見失わないようにするという点で非常に有効だと感じます。

仮説検証の考え方や方法を社内に広めていきたい。

今回の研修で身につけたことを、今後どのように活かしていきたいですか。

佐々木さん:仮説検証を扱える人が社内に増えていくことが必要だと思います。
各プロセスごとにチェックポイントを設けるなど、客観的に見て検証・評価できる仕組みができれば、サイクルとしてうまく回るような気がします。組織的な活動のなかに組み込めるようなツールや評価体系の仕組みを作っていきたいです。

大滝さん:今は開発メンバーで使っている仮説キャンバスを、企画チーム側にも広めていけたらと思っています。

企画チーム側にも広めていくにあたって、課題に感じることはありますか。

大滝さん:仮説検証についての興味の度合いや重要性の捉え方が人によって違いますので、私自身が慎重になってしまっていることでしょうか。興味の薄い人や重要性を感じていない人に対する薦め方が難しいと感じます。

新しい取り組みに誰かを巻き込むときには、狙いややるべきことの最初の理解を得るための小さな「型」(小さなガイド)があると進みやすいかなと思います。すべてを表現したり標準化しようとするのは、結局相手が受け止められず、陳腐化もするため筋が良くないと思います。
また、例えば、「本当にこれで進めていいのか」を可視化するためのフレームとして、仮説キャンバスやエレベーターピッチをまずは「一緒に書いてみる」ことをお勧めします。そこからお互いに見えてくることがあるはずです。そうしてやり方に関心を持ってもらうところから巻き込みを始めてみてはどうでしょうか。ご参考になれば幸いです。
それでは最後に、仮説検証やアジャイル開発の取り組みについて、今後の展望を聞かせていただけますか。

佐々木さん:研修で、インタビュー対象者のバックグラウンドをできるだけ幅広く設定する必要性を感じましたので、そこをどう工夫していくかが今後の課題です。インタビュー対象者選定の切り口を、自分の中でもよりブラッシュアップしていきたいと考えています。
また、インタビューの結果を評価し整理する上での基準についても学びを深めていきたいです。

大滝さん:仮説キャンバスを社内に広めていきたいです。
現在、普段の業務とは別で、グループ会社内の新規事業提案制度の取り組みに5人でチームを組んで活動していますが、そこでは仮説キャンバスを本格的に使っているんです。こういう形でラボでも少しずつ広めていきたいと思っています。

研修の感想としては、実際の案件をテーマにしてキャンバスに取り組めたら、キャンバスの便利さも難しさも体感した上で、自分たちの案件の矛盾点も同時に明らかになるので、より面白いのではないかと感じました

実際に取り組んでいる案件がある場合は、そのような進め方もいいと思います。
ただ、実在するテーマを洗練させつつ、新しい方法も学ぶとなると、両立する難しさはあります。まずは方法を学んだ上で、あらためて実テーマを捉えてみるという順番が理想的かもしれませんね。
今日はありがとうございました。ぜひ社内で仮説検証型アジャイル開発の考え方を広めていってください。私たちも、ともに実践に取り組んでいけたらと思います。