Weekly Red Journeyは、今回から毎月発刊のトピックレター、Monthly Red Journeyとなりました。
これまでのレッドジャーニーの発信の中から、特定のテーマに基づいてトピックを集め、紹介します。
今回のテーマは「開発領域以外でのアジャイル適用」です。

アジャイルと言えば、元々はソフトウェア開発の方法、考え方ですが、近年のDX推進の流れから、開発以外の領域への適用が広がっています。
マーケティングのような探索が必要な領域ではもちろんのこと、人事や総務といった領域でも関心の高さがうかがえます。
具体的な事例をあげてご紹介します。

マーケティング部門でのアジャイルの取り組み
~野村證券株式会社の事例~

実際にアジャイルに取り組むマーケティング部門の現場から、当事者の声をご紹介します。
アジャイルを適用することで、顧客起点でのマーケティングプロセスの実現に挑んだ野村證券株式会社の事例です(2022年6月掲載より)。
顧客起点で考えるために、どのように取り組みを始めたのでしょうか。

1年間の取り組みをふりかえると、部署間の立ち上がりにだいぶ時間がかかってしまいました。プロダクトありきでタスクを発想するやり方が定着しており、顧客起点で考えることに不慣れだったためです。
そんな状況を打破するべく、横連携のチームでカスタマージャーニーマップをあらためて描き、そこから施策を考えるプロセスをとりました。そして、その施策をリーン、アジャイルの方式でブラッシュアップしながら実行しようとチャレンジを始めています。
まだまだ成功とは言えませんが、カスタマージャーニーマップの作成から施策の展開まで、顧客起点でのマーケティングに一連の流れができつつあります。

正解も終わりもない、難しいからこそおもしろい「アジャイル」の世界 ―Red Conference DAY1 野村證券株式会社(後編) – Red Journey

他の関連部署や経営層へのアジャイルの理解と浸透には時間がかかり、定着させるには根気が要ると感じています。
一方、参加したメンバーは、チーム内の連携が深まり部署の壁がなくなったことに一定の手ごたえを感じています。これらのフィードバックを共有することで、共感者も徐々に増えてきています。

正解も終わりもない、難しいからこそおもしろい「アジャイル」の世界 ―Red Conference DAY1 野村證券株式会社(後編) – Red Journey

情報システムなどITの部門からアジャイルを提案される機会が増えてきています。
アジャイルのメリットである合理性やパフォーマンスの高さについて共通認識が生まれ、主力になりつつあります。私の見た限り、否定的な人はいないという印象です。

正解も終わりもない、難しいからこそおもしろい「アジャイル」の世界 ―Red Conference DAY1 野村證券株式会社(後編) – Red Journey

まとめ

  • マーケティングのステージごとに部署間が連携する形へ変更する。
  • 顧客起点で考えるため横連携のチームで施策を考える。
  • アジャイルの取り組みに参加したメンバーのフィードバックを共有することで、他部署や経営層の共感者を増やす。
  • 社内でアジャイルを導入することのメリットについて共通認識が生まれる。

▼全文はこちらをご覧ください。

総務部門で高まるアジャイルへの期待感

昨年、株式会社月刊総務発行『月刊総務』2022年11月号に、レッドジャーニー代表の市谷へのインタビュー記事が掲載されました。

災害や感染症の流行など、突然対応の変化を求められる事業環境下において、私たちは素早い判断を求められることがあります。
現状を把握し、次にとるべき行動を判断し、取り組むという一連のサイクルを短期間で小さく試しながら行うアジャイル型の組織づくりは、これからの時代においては、有効な取り組み方といえます。

※記事のPDFは、掲載から3ヶ月間の期間限定公開です。

また、株式会社月刊総務が全国の総務担当者を対象に行ったアンケートでは、総務部門におけるアジャイル型組織への期待の高さが明らかとなりました。

人事部門でもアジャイルに取り組む 

人事部門からの関心も高まっています。

株式会社ビジネスパブリッシング発行『月刊 人事マネジメント』2022年9月号に、市谷による記事 『組織を芯からアジャイルにする』あとがきのあとがきが掲載されました。
本記事の中で、組織変革への処方箋として「組織が『動ける体』になること」を提示し、そのすべが「アジャイル」であるとお伝えしました。

組織が「動ける体」になるとはどういうことでしょうか。それは、組織を取り巻く環境や状況に適した意思決定をその都度取れること、またその組織活動の結果から「次の判断」をより適切なものにしていけること。そうした状態に組織を持っていくことです。

そのために、ソフトウェア開発のアプローチであった「アジャイル」を組織運営そのものに適用していこうというのが「組織アジャイル」の狙いになります。組織へのアジャイル適用は「段階」を分けて捉える必要があります。

アジャイルの段階的な適用を、「3階建ての家」になぞらえた「アジャイル・ハウス」を提示しています。

アジャイルな組織に向けての段階を示す「アジャイル・ハウス」

月刊人事マネジメント12月号からは、市谷による連載記事『「アジャイル」な組織構築の4ステップ』をスタートさせ「アジャイル」な組織構築への具体的なステップについて解説しています。

第1回「アジャイルな組織に向けての段階を知ろう」(月刊 人事マネジメント2022年12月号)

第2回 「チームで仕事をするためのすべを手に入れよう」(月刊 人事マネジメント2023年1月号)

一人から組織へ、芯からアジャイルにする

アジャイルの適用をさらに広げていくことを考えてみましょう。

ある部門でのアジャイルの取り組みをいかにして組織の中で伝播させていけば良いのか。
ここでは1976年創業のある伝統的企業におけるアジャイルの取り組みをご紹介します。

同スライドの中で紹介されている様々な部門での取り組みと組織全体への広がり方に、組織を芯からアジャイルにするためのヒントが散りばめられています。

一人から自部署、そして組織へ、芯からアジャイルにする|新井剛
一人から自部署、そして組織へ、芯からアジャイルにする|新井剛
一人から自部署、そして組織へ、芯からアジャイルにする|新井剛
一人から自部署、そして組織へ、芯からアジャイルにする|新井剛

「アジャイルから始める」組織変革

開発に限らず様々な部門で、アジャイルが芽吹き、育ちつつあります。
枝葉を広げ大きく育つためには、様々な障壁を乗り越えていく必要があります。
アジャイルの進展を作戦立て、進めていく「アジャイルCoE」の存在がこれからの組織には求められるはずです。

書籍『組織を芯からアジャイルにする』

ソフトウェア開発におけるアジャイル、
その可能性の中心を「組織づくり」「組織変革」に適用するための実践の手引きとして、
市谷による著作『組織を芯からアジャイルにする』をおすすめします。ぜひご活用ください。

書籍『組織を芯からアジャイルにする ~アジャイルの回転を、あなたから始めよう~』

レッドジャーニーへのお問い合わせ

多くの組織にとって、
組織活動にアジャイルを適用していくという挑戦はまだこれからと言えます。
組織アジャイル、アジャイル開発の適用や課題、お困りごとについて、お問い合わせはこちらからお寄せください。
ともに考えていきましょう。